講演情報
[T7-P-18]日本海溝におけるホルスト・グラーベンの連続沈み込みとプレート境界断層の変形過程
*高下 裕章1、野田 篤1、宮川 歩夢1、NISHIMOTO M.Michelle2,1、大熊 祐一3,1,5、橘 隆海4,1、藤内 智士4、兼子 尚知1、大坪 誠1 (1. 産業技術総合研究所、2. 日本女子大学、3. 東京大学大気海洋研究所、4. 高知大学、5. 海洋技術開発株式会社)
キーワード:
東北地方太平洋沖地震、凹地形沈み込みメカニズム、砂箱実験、地塁・地溝構造
2011年の東北地方太平洋沖地震では、地震前後の観測データを比較することで、海溝軸付近で最大約60mの巨大な変位が地震時に発生したことが明らかになった。これは浅部プレート境界断層の破壊に関する初の観測事例であり、この地震に伴って発生した巨大な津波は東北地方沿岸部に甚大な被害をもたらす津波の発生につながった。しかし、この最大すべり領域が地震時にどのような変形を経て破壊されたかは十分に明らかになっていない。
先行研究の問題点として、凹地形が沈み込む際に、プレート境界断層に与える影響がよくわかっていないことが挙げられる。これまで凸地形の沈み込み(海山やリッジなど)による地震の巨大化が示唆され、プレート境界断層も含めたウェッジ全体の動的変形モデルの研究が進展している一方で、凹地形の沈み込みは、その逆の現象が発生すると推測され、ほぼ無視されてきた。日本海溝ではプレート沈み込みに伴うホルストグラーベン(海溝軸に平行な凹凸)が沈み込んでおり、一番大きく動いた場所ではグラーベン(凹んだ部分)が沈み込んでいるため、その解釈を難しくしている。
そこで本研究では、ホルストグラーベンの連続的な沈み込みを再現するために砂を用いたアナログモデル実験を実施し、その沈み込みの効果を考察する。さらにここでは凹地形が堆積物で充填されているかどうかを比較するため、2つの条件で実験を進めている。速報として、堆積物が充填されている場合の結果を述べる。凹んだ部分の内部にプレート境界断層が形成されると、それが高い摩擦力を持つ底部として機能し、圧縮による隆起の変形に影響を与えることが示された。これまで想定されてきた凹地形沈み込みによる沈降が発生するということと、逆の変形が起こった。
本実験装置のような長い距離での変形を伴う場合の技術的な問題として、大量の砂を変形させることで、予想外の応力集中や不安定な滑りが発生し、沈み込み速度を一定にコントロールできないことがある。特に今回、充填が不足している場合では、砂が詰まって動かなくなることが何度か発生しており、現時点では比較実験としての精度が保てていない。技術的にこれらを克服して、当日比較した結果も紹介できればと思う。
先行研究の問題点として、凹地形が沈み込む際に、プレート境界断層に与える影響がよくわかっていないことが挙げられる。これまで凸地形の沈み込み(海山やリッジなど)による地震の巨大化が示唆され、プレート境界断層も含めたウェッジ全体の動的変形モデルの研究が進展している一方で、凹地形の沈み込みは、その逆の現象が発生すると推測され、ほぼ無視されてきた。日本海溝ではプレート沈み込みに伴うホルストグラーベン(海溝軸に平行な凹凸)が沈み込んでおり、一番大きく動いた場所ではグラーベン(凹んだ部分)が沈み込んでいるため、その解釈を難しくしている。
そこで本研究では、ホルストグラーベンの連続的な沈み込みを再現するために砂を用いたアナログモデル実験を実施し、その沈み込みの効果を考察する。さらにここでは凹地形が堆積物で充填されているかどうかを比較するため、2つの条件で実験を進めている。速報として、堆積物が充填されている場合の結果を述べる。凹んだ部分の内部にプレート境界断層が形成されると、それが高い摩擦力を持つ底部として機能し、圧縮による隆起の変形に影響を与えることが示された。これまで想定されてきた凹地形沈み込みによる沈降が発生するということと、逆の変形が起こった。
本実験装置のような長い距離での変形を伴う場合の技術的な問題として、大量の砂を変形させることで、予想外の応力集中や不安定な滑りが発生し、沈み込み速度を一定にコントロールできないことがある。特に今回、充填が不足している場合では、砂が詰まって動かなくなることが何度か発生しており、現時点では比較実験としての精度が保てていない。技術的にこれらを克服して、当日比較した結果も紹介できればと思う。
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