講演情報
[T3-O-13]山形県鶴岡市由良沖の底質と漁業との関係
*森野 善広1 (1. パシフィックコンサルタンツ株式会社)
キーワード:
漁場、底質、魚介類、漁法
大正3年に描かれた漁場図『豊浦村(現山形県鶴岡市由良地域)漁場海底詳細図』をもとに地質と人々の暮らしとの関係性について述べる。
この図は「山立て」と呼ばれる手法(山からの遠望と岩などを目印として)で、その位置を特定し、漁場の地形地質(海底の深さや底質など)を表したものである。底質(海底地質)としては、「磯」、「内ノ場」、「アラス(砂礫)」、「ゴミ界」、「内ノ砂目(フケ)」、「沖の砂目」、「??(あら)場」、「鱈場」などと表現されており、岩・暗礁などとともにそれぞれの分布が塗色して示されている。漁場の水深は、海岸域(0m)から鱈場では200mを超えるところまであり、底質の状態については、底びき網、さし網など漁業をする際にロープや網に泥や石が入ってくることで確認している。
また、「地質ト四季重ナル魚類ト其ノ漁具差別」と称して、底質別に年間を通して(春夏秋冬)どのような魚種が多くみられ、それをとるための漁法が書かれている。
例えば「鱈場」、「磯」の場合は以下の通りである。
「鱈場」
春の部 魚種:鱈・鮟・小がれ、漁法:底曳・配縄
夏の部 魚種:鰰・助宗・えび・かに、漁法:手繰
秋の部 魚種:えび・かに・鰰・小がれ、漁法:底曳・手繰
冬の部 魚種:鱈・鮟・小がれ・かに、漁法:底曳・配縄
「磯」
春の部 魚種:ます・小がれ・平目・大だこ・あわび、漁法:刺網・磯見・配縄など
夏の部 魚種:えび・すずき・・ざえ、小がれなど、漁法:手繰・刺網・磯見など
秋の部 魚種:すずき・小だこ・さざえなど、漁法:手繰・刺網・磯見など
冬の部 魚種:鰰・あわびなど、漁法:手繰・磯見
底質と魚類(魚種)の関係では、砂地に潜る魚、泥場に潜る魚、岩場にいる獲物を餌にする魚、泥場の虫を餌にする魚、海草を隠れ家にする魚など生きるのに都合のいい場所を利用している。また、季節を通しての移動も見られ、例えばタラなどは産卵のため冬に浅場に、タイやカレイも浅場で産卵する。ハタハタは冬季に磯場の藻に産卵する。このように、魚介類の棲み場所としての底質の利用、生活史の中での移動と底質の利用が見られ、それら魚介類の生態をうまく知り尽くして漁法に生かしていることが伺える。海底の地形・地質(底質)の多様性が、豊富な魚介類を育み、地域の主要な産業を生み出している。
現在由良地域では、「ゆらまちっく戦略会議」などが中心となって、このような豊富な水産資源を地元の活性化(観光、浜料理、漁村体験など)としてうまく活用している。
この図は「山立て」と呼ばれる手法(山からの遠望と岩などを目印として)で、その位置を特定し、漁場の地形地質(海底の深さや底質など)を表したものである。底質(海底地質)としては、「磯」、「内ノ場」、「アラス(砂礫)」、「ゴミ界」、「内ノ砂目(フケ)」、「沖の砂目」、「??(あら)場」、「鱈場」などと表現されており、岩・暗礁などとともにそれぞれの分布が塗色して示されている。漁場の水深は、海岸域(0m)から鱈場では200mを超えるところまであり、底質の状態については、底びき網、さし網など漁業をする際にロープや網に泥や石が入ってくることで確認している。
また、「地質ト四季重ナル魚類ト其ノ漁具差別」と称して、底質別に年間を通して(春夏秋冬)どのような魚種が多くみられ、それをとるための漁法が書かれている。
例えば「鱈場」、「磯」の場合は以下の通りである。
「鱈場」
春の部 魚種:鱈・鮟・小がれ、漁法:底曳・配縄
夏の部 魚種:鰰・助宗・えび・かに、漁法:手繰
秋の部 魚種:えび・かに・鰰・小がれ、漁法:底曳・手繰
冬の部 魚種:鱈・鮟・小がれ・かに、漁法:底曳・配縄
「磯」
春の部 魚種:ます・小がれ・平目・大だこ・あわび、漁法:刺網・磯見・配縄など
夏の部 魚種:えび・すずき・・ざえ、小がれなど、漁法:手繰・刺網・磯見など
秋の部 魚種:すずき・小だこ・さざえなど、漁法:手繰・刺網・磯見など
冬の部 魚種:鰰・あわびなど、漁法:手繰・磯見
底質と魚類(魚種)の関係では、砂地に潜る魚、泥場に潜る魚、岩場にいる獲物を餌にする魚、泥場の虫を餌にする魚、海草を隠れ家にする魚など生きるのに都合のいい場所を利用している。また、季節を通しての移動も見られ、例えばタラなどは産卵のため冬に浅場に、タイやカレイも浅場で産卵する。ハタハタは冬季に磯場の藻に産卵する。このように、魚介類の棲み場所としての底質の利用、生活史の中での移動と底質の利用が見られ、それら魚介類の生態をうまく知り尽くして漁法に生かしていることが伺える。海底の地形・地質(底質)の多様性が、豊富な魚介類を育み、地域の主要な産業を生み出している。
現在由良地域では、「ゆらまちっく戦略会議」などが中心となって、このような豊富な水産資源を地元の活性化(観光、浜料理、漁村体験など)としてうまく活用している。
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