講演情報
[T1-P-5]山口県柳井地域の領家変成岩類のザクロ石の成長過程
*林 里沙1、池田 剛1 (1. 九州大学)
キーワード:
ザクロ石、核形成-成長過程、合体、領家変成帯
山口県柳井地域の領家変成帯最高変成度地域(ザクロ石-菫青石帯)にはザクロ石-菫青石-黒雲母の共生が広く見られる。変成条件は西の220MPa、620℃から東に向かって上昇して700MPa、870℃に達する。本研究では高圧、低圧を代表する東西2試料のザクロ石の微細構造と微量元素の不均質からその成長過程を議論した。
泥質岩中のザクロ石は、球形から不定形の様々な形状を示し、粗粒側に尾を引くサイズ分布をもつ。球形粒子の#Mg(Mg/Fe+Mg)は、内部で均質で外縁部で減少している。この#Mgの減少は、黒雲母と接している部分で特に顕著である。また、粒子の外形がP(リン)の等値線を切っている場合もある。この場合も外形に沿って#Mgは減少している。不規則な形状の粒子や一部の球形粒子には、PやCaの複数のドメインが認識できるものがある。このドメイン境界部の#Mgは、①周囲の粒子内部の値と等しい場合、②粒子外縁部の値と等しい場合、③両者の中間的な値の場合が認識された。
PやCaは拡散係数が小さく、高温時の拡散の影響を受けにくいため、累進変成時のザクロ石の成長過程を記録していると考えられる。これらの元素の濃集あるいは枯渇したドメインが存在することは、各ドメインが別々の結晶であり、それらが合体したことを示唆する。これに対し、FeやMgは拡散係数が大きく、最高変成時には粒子内で均質化しており、後退変成作用の高温時には周囲の黒雲母と交換反応し外縁部の組成が変化したと考えられる。①のように#Mgが均質な部分にPやCaのドメインの見られる粒子は、#Mgが均質化する以前、つまり累進変成作用時に合体した粒子である。それに対して②や③の粒子は最高変成時以降に合体し、合体前の#Mgが減少した外縁部を保持している。#Mgの減少を伴いPの等値線を切る外形は、成長の休止か部分的溶解が交換反応以前に生じたと考えられる。
以上の結果より、本研究地域のザクロ石には様々な時期に粒子が合体したことが明らかになった。粗粒側に尾を引く結晶サイズ分布はこのような多段階のイベントを反映していると考えられる。
泥質岩中のザクロ石は、球形から不定形の様々な形状を示し、粗粒側に尾を引くサイズ分布をもつ。球形粒子の#Mg(Mg/Fe+Mg)は、内部で均質で外縁部で減少している。この#Mgの減少は、黒雲母と接している部分で特に顕著である。また、粒子の外形がP(リン)の等値線を切っている場合もある。この場合も外形に沿って#Mgは減少している。不規則な形状の粒子や一部の球形粒子には、PやCaの複数のドメインが認識できるものがある。このドメイン境界部の#Mgは、①周囲の粒子内部の値と等しい場合、②粒子外縁部の値と等しい場合、③両者の中間的な値の場合が認識された。
PやCaは拡散係数が小さく、高温時の拡散の影響を受けにくいため、累進変成時のザクロ石の成長過程を記録していると考えられる。これらの元素の濃集あるいは枯渇したドメインが存在することは、各ドメインが別々の結晶であり、それらが合体したことを示唆する。これに対し、FeやMgは拡散係数が大きく、最高変成時には粒子内で均質化しており、後退変成作用の高温時には周囲の黒雲母と交換反応し外縁部の組成が変化したと考えられる。①のように#Mgが均質な部分にPやCaのドメインの見られる粒子は、#Mgが均質化する以前、つまり累進変成作用時に合体した粒子である。それに対して②や③の粒子は最高変成時以降に合体し、合体前の#Mgが減少した外縁部を保持している。#Mgの減少を伴いPの等値線を切る外形は、成長の休止か部分的溶解が交換反応以前に生じたと考えられる。
以上の結果より、本研究地域のザクロ石には様々な時期に粒子が合体したことが明らかになった。粗粒側に尾を引く結晶サイズ分布はこのような多段階のイベントを反映していると考えられる。
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