講演情報

[T9-O-6]室戸ユネスコ世界ジオパークにおける地域連携自然科学リテラシー教育

*岩井 雅夫1、小笠原 翼2,1、柿崎 喜宏3,1、新名 阿津子2、村山 雅史2,1 (1. 高知大学 海洋コア国際研究所、2. 高知大学、3. 室戸ユネスコ世界ジオパーク)
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キーワード:

ジオパーク、地域連携、自然科学リテラシー、自然災害リスクマネジメント、黒潮圏

 国連では「持続可能な開発目標(SDGs)」が定められ、日本では政府・内閣府がトップダウン政策 「Society 5.0」を推進、その一方で、地形・地質・植生・風土・文化の連関を重視し、ボトムアップで持続可能地域創生をめざすジオパーク活動が、2015年11月17日、第38回ユネスコ総会を経て、ユネスコの正式事業となり、国内には10地域がユネスコ世界ジオパークとして認定されている。
高知大学では、地域との連携協定を基盤に室戸ジオパーク設立にいち早く動きだし、国内で4地域目、四国初で未だ唯一のユネスコ世界ジオパークの活動を支え続けてきた。また、理学部から理工学部への改組 (2017年度)に際し、室戸世界ジオパークセンター内にサテライトラボ(高知大学「地(知)の拠点整備事業KICS」のサテライト教室)を整備、ジオパーク専門員を本学の客員教員に招聘、地域と連携した高大連携教育体制を実践してきた。「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」(2019-2021年度)に室戸高校がいち早く採択され、室戸ユネスコ世界ジオパークや室戸市との連携のもと、国内外のジオパークやジオパーク内の高校生・大学生との交流機会増強を推進すべくアドバイスを行い、その結果、文部科学省指定グローカル型地域協働推進校探究成果発表委員会主催の全国高等学校グローカル探究オンライン発表会で、室戸高校は2年連続金賞・銀賞(初年度の金賞は最優秀賞)を受賞するなど華々しい成果を上げた。室戸市は事業終了後も室戸高校の若手人材を継続して支援する体制や卒業後もアンバサダーとして地元活性化に貢献しつづける体制を準備し、持続可能地域創生に必要不可欠な人材育成体制を構築、若手人材の流出に歯止めをかけ、外部からの若手人材流入など、持続可能地域創生に向けた体制が着実に動き出している。さらに我々はJSTさくらサイエンス事業(岩井、2024)や内閣府青年の船事業、地域課題を共に解決するProject Based Learningプログラム や、防災学習プログラムの開発により、国内外若手人材との異文化国際交流機会も徐々に増やしてきた。
ジオパークを活用した地域連携自然科学リテラシー普及啓発教育活動並びに異文化交流推進は、国際コミュニケーション力を有する地域の現役・次世代人材の育成に重要な役割をはたし、ボトムアップ型持続可能地域創生の起爆剤になりうる。

引用文献
岩井雅夫(2024) JSTさくらサイエンスプログラム2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第 122号https://ssp.jst.go.jp/report/2023/k_vol122.html