講演情報
[T1-O-8]舞鶴帯北帯に産する河守変成岩のP–T履歴とU–Pb年代が示す東アジアのテクトニクス
*室井 颯太1、川口 健太1、Das Kaushik1、中野 伸彦2、早坂 康隆3 (1. 広島大学、2. 九州大学、3. 天草市立御所浦恐竜の島博物館)
キーワード:
舞鶴帯、北帯、河守―桑飼変成岩、ジルコンU–Pb年代、モナザイトTh–U–Total Pb化学年代
西南日本内帯に分布する舞鶴帯は、岩相構成によって北帯、中帯、南帯に区分される(加納ほか、1959, 地質学雑誌)。南帯は夜久野オフィオライトとそれに貫入するペルム紀前期の海洋内島弧起源の火成岩類で構成され、中帯は背弧海盆地殻とその上に堆積したペルム系舞鶴層群からなる。南帯と中帯は島弧-背弧盆系の様相を呈する一方、北帯は花崗岩類を主体とし、角閃岩や泥質片岩を主体とした変成岩類も産する(池田・早坂, 1994, 岩鉱; Fujii et al., 2008, Isl. Arc)。したがって、北帯の岩相は大陸地殻の様相を呈し、北東アジアの大陸地塊群と類似していることから、北帯の地質学的・岩石学的検討は舞鶴帯と北東アジアとの対比において極めて重要な意味を持つ。しかし北帯は、中帯、南帯と比べ地質学的・岩石学的研究が不十分で、特に詳細な岩相分布の把握と変成岩の精密な年代・岩石学的解析はなされていない。変成岩の年代・岩石学的解析は、時間軸を含めた変成プロセスの解析を可能とし、同様の変成プロセスを持つ北東アジア大陸地塊群との比較検討を行うことで、舞鶴帯北帯の起源を決定し、古地理的復元に基づくプレート運動像の推定が可能となる。
近年、我々は舞鶴帯北帯の河守―桑飼地域に産する変成岩の変成条件の解析結果を報告した(室井ほか、2025, JpGU abstr)。同研究では、地質温度圧力計により、当地域の変成岩が高温低圧型の角閃岩相に相当する後退変成作用を受けたことを明らかにし、ジルコンU–Pb年代測定により砕屑性ジルコン年代と約282 Maのピーク変成時期を報告した。本研究では、変成作用の詳細なP–T経路を解明することを目的として、新たに全岩化学組成に基づくシュードセクション解析を行い、ピーク変成後の変成岩上昇過程において、中程度の角閃岩相を経て緑色片岩相に至るP–T経路が明らかとなった。
本発表では、これまでの我々の研究成果と新たなシュードセクション解析を統合することに加え、今後実施予定の角閃岩および花崗岩類のジルコンU–Pb年代データを併せて、本研究地域から制約する石炭紀後期からペルム紀初期にかけての東アジアにおける地殻進化に関する具体的なテクトニックモデルを提案する予定である。
近年、我々は舞鶴帯北帯の河守―桑飼地域に産する変成岩の変成条件の解析結果を報告した(室井ほか、2025, JpGU abstr)。同研究では、地質温度圧力計により、当地域の変成岩が高温低圧型の角閃岩相に相当する後退変成作用を受けたことを明らかにし、ジルコンU–Pb年代測定により砕屑性ジルコン年代と約282 Maのピーク変成時期を報告した。本研究では、変成作用の詳細なP–T経路を解明することを目的として、新たに全岩化学組成に基づくシュードセクション解析を行い、ピーク変成後の変成岩上昇過程において、中程度の角閃岩相を経て緑色片岩相に至るP–T経路が明らかとなった。
本発表では、これまでの我々の研究成果と新たなシュードセクション解析を統合することに加え、今後実施予定の角閃岩および花崗岩類のジルコンU–Pb年代データを併せて、本研究地域から制約する石炭紀後期からペルム紀初期にかけての東アジアにおける地殻進化に関する具体的なテクトニックモデルを提案する予定である。
