講演情報
[T2-P-7]熊野灘で観測された局所的海底圧変動の力学モデルの考察
*有吉 慶介1、永野 憲1、長谷川 拓也2、中野 優1、松本 浩幸1、高橋 成実3、堀 高峰1 (1. 海洋研究開発機構、2. 気象庁、3. 防災科学技術研究所)
キーワード:
海底地殻変動、間隙流体圧、海洋との相互作用
Dense Oceanfloor Network System for Earthquakes and Tsunamis(DONET)による、1944年東南海地震震源域付近での海底観測により、スロースリップイベント(SSE)が巨大地震の震源域の浅い部分でも地殻変動を引き起こすことがわかってきた(Araki et al., 2017 Science; Ariyoshi et al., 2021 Frontiers in Earth Science)。しかし、これまでに検出されたSSEは主にDノード周辺に限られている。例外として、Suzuki et al. (2016 Tectonophysics) はDONET-1のBノード付近の海底圧力データからSSEの可能性を示しているが、海底圧力変化と同期した低周波微動や超低周波地震が観測された事例は見つかっていない。
この制約の一因は観測点の配置にある。間隙水圧で地殻変動を計測できる3つの長期孔内観測点は、CノードからDノードへ向かう傾斜に沿って設置されており、BノードとDノードの間の地形は非対称であることが知られている (Takemura et al., 2023 EPS)。Bノード付近では近年、海山が大陸プレート下に沈み込んでいること(Sun et al., 2020 Nature)、さらに間隙水が正断層沿いに上昇している可能性(Tsuji et al., 2014 EPS; Toh et al., 2015 PEPI)が報告されている。
本研究では、2013年にBノード付近で記録された局所的な海底圧力変化イベントについて、その発生原因の別の可能性を検討した。その結果、観測された海底圧力変化は、深さ2–3 km、半径1–2 km程度の流体を含む層が局所的に膨張・収縮し、それらをつなぐ流路が海洋の擾乱によって一時的に開閉することによって説明できる可能性が示された。
この制約の一因は観測点の配置にある。間隙水圧で地殻変動を計測できる3つの長期孔内観測点は、CノードからDノードへ向かう傾斜に沿って設置されており、BノードとDノードの間の地形は非対称であることが知られている (Takemura et al., 2023 EPS)。Bノード付近では近年、海山が大陸プレート下に沈み込んでいること(Sun et al., 2020 Nature)、さらに間隙水が正断層沿いに上昇している可能性(Tsuji et al., 2014 EPS; Toh et al., 2015 PEPI)が報告されている。
本研究では、2013年にBノード付近で記録された局所的な海底圧力変化イベントについて、その発生原因の別の可能性を検討した。その結果、観測された海底圧力変化は、深さ2–3 km、半径1–2 km程度の流体を含む層が局所的に膨張・収縮し、それらをつなぐ流路が海洋の擾乱によって一時的に開閉することによって説明できる可能性が示された。
