講演情報
[T1-O-23]蛇紋岩マトリックスの球状粒(スフェルール)とその実験的研究
*鳥海 光弘1 (1. 海洋研究開発機構)
キーワード:
蛇紋岩マトリックス、スフェルール、粉体振動実験
蛇紋岩はしばしば強く破砕され, 粉体化されたマトリックスが顕著に発達している(1)(2)。粉体は蛇紋石や滑石、方解石の超微粒子からなり、しばしば球状のクラスタ、スフェルールとなっている。その大きさは約1mm程度であり、中央部にマグネタイトの超微粒子が見られることもある。このような球状粒の形成は、マトリックス粉体が、水あるいは水蒸気の存在下での流動凝集によって形成されたと考えられ、蛇紋岩の粉体に至る破砕過程と粉体運動の物理を理解する重要なプロセスである。そこで本報告では, 極超微粒子の球状凝集とそのカイネティクスについてコランダム超微粒子を用いて振動実験を行った結果、次のような結論を得た。 スフェルールは1−10Hzの振動実験で普遍的に形成される。 振動数が増加とともにスフェルールの粒径増加速度は大きくなる。 速度の時間変化は漸近的である。 定速度実験では増加速度は振動実験に比して極めて小さい。これらの結果から、破砕蛇紋岩マトリックスのスフェルールの形成は粉体マトリックスの不規則な流れ、あるいは乱流によるものであると結論される。参考文献(1)、Hirauchi K, Oyanagi R, Okamoto A, Nagata Y, Kataoka K, Michibayashi K, 2021, Earth Planet.Sci.Lett., 576i;117232, doi.org:10.1016/jepsl.2021.117232.(2)、Uno M, Kirby S, 2019, Lithos, 336-337, 15, 276-292.
