講演情報
[T11-O-10]堰き止め地形形成に関わる基盤地形
*高嶋 洋1 (1. 第一工科大学 環境エンジニアリング学科)
キーワード:
堰き止め地形、人工地層、浸水の危険性、人工地形
「人工地層」は人為の働きによって形成される地層と定義される(Nirei,et,al, 2012).人の地質体への働きかけは拡大の一途をたどり,人為による土地改変と人工地層の発達は,都市の地形や水循環を大きく変容させている.Winkler, K. et al.(2021)は,1960年から2019年までの60年間に,地球規模の土地利用の変化が陸地面積の約32%に及ぶことを報告した.髙嶋・吉富(2021)は,こうした陸域において形成される盛土アソシエーション(楡井他,1995)の発達状況と都市地形の解析を行い,盛土等の土地改変箇所の地形的上流側や周辺の開発箇所との間において,開発が及ばない土地などがとり残され,プール状に地形的凹地が形成される現象を確認した.こうした人為的かつ非意図的に形成される地形的凹地は,流水の調整は行われているものの,近年の豪雨災害に対して地形的に排水不良土地となり,脆弱であることから,都市域における人工地形として「堰き止め地形」と定義された(髙嶋・吉富, 2021).また,髙嶋(2022)は,「堰き止め地形」の形成過程を検証し,発達様式を試行的に分類したほか,当該開発に係る法的枠組みの適用条件を確認して,流水の調整に係る設計条件と実際の降雨の状況を比較し,内水氾濫の危険性について,検討を行った.
「堰き止め地形」は,日本各所の都市域等において,発達が確認されるが,その全体像については,全く検証が進んでいない.また,「堰き止め地形」が形成される地形的要因についても,検証が必要である.「堰き止め地形」が形成されやすい基盤地形の類型区分は,「堰き止め地形」形成に係る重要な要素のひとつと考えられることから,国土地理院の地形図上において,全国各所で確認された複数の凹み地形について,個別に検証を行い,「堰き止め地形」の認定と基盤地形の確認・分類を実施した.対象とした地域は,沖積低地を中心に,ランダムに抽出した北海道から九州までの全35か所である.
調査の結果,谷津や旧河道・海域の埋め立て地,自然堤防や砂丘地の後背湿地など,自然地形の段階で,排水不良となりやすい地形上に人為的改変が加わり,「堰き止め地形」が形成されていることが判明した.また,こうした排水不良となりやすい地形が発達する地域には,類似の地質構造と地形を有する地区が複数存在し,そうした地域には複数の「堰き止め地形」が確認された(Fig.1).
引用文献
楡井 久, 鈴木喜計, 佐藤賢司, 古野邦雄, 1995, 地質環境における新しい単元の形成, URBAN KUBOTA 34, 2-9.
Nirei, H., Furuno, K., Osamu, K., Marker, B. & Satkunas, J. 2012. Classification of man made strata for assessment of geopollution. Episodes, 35, 333-336.
高嶋 洋・吉冨 邑弥, 2021, 人工地層による堰き止め地形, 第31回社会地質学シンポジウム論文集, 59-62.
髙嶋 洋, 2022, 堰き止め地形の排水能力に係る法的枠組み, 第32回社会地質学シンポジウム論文集, 39-42.
Winkler, K., Fuchs, R., Rounsevell, M. et al.2021, Global land use change is four times greater than estimated. Nat Commun, 12, 2501.
「堰き止め地形」は,日本各所の都市域等において,発達が確認されるが,その全体像については,全く検証が進んでいない.また,「堰き止め地形」が形成される地形的要因についても,検証が必要である.「堰き止め地形」が形成されやすい基盤地形の類型区分は,「堰き止め地形」形成に係る重要な要素のひとつと考えられることから,国土地理院の地形図上において,全国各所で確認された複数の凹み地形について,個別に検証を行い,「堰き止め地形」の認定と基盤地形の確認・分類を実施した.対象とした地域は,沖積低地を中心に,ランダムに抽出した北海道から九州までの全35か所である.
調査の結果,谷津や旧河道・海域の埋め立て地,自然堤防や砂丘地の後背湿地など,自然地形の段階で,排水不良となりやすい地形上に人為的改変が加わり,「堰き止め地形」が形成されていることが判明した.また,こうした排水不良となりやすい地形が発達する地域には,類似の地質構造と地形を有する地区が複数存在し,そうした地域には複数の「堰き止め地形」が確認された(Fig.1).
引用文献
楡井 久, 鈴木喜計, 佐藤賢司, 古野邦雄, 1995, 地質環境における新しい単元の形成, URBAN KUBOTA 34, 2-9.
Nirei, H., Furuno, K., Osamu, K., Marker, B. & Satkunas, J. 2012. Classification of man made strata for assessment of geopollution. Episodes, 35, 333-336.
高嶋 洋・吉冨 邑弥, 2021, 人工地層による堰き止め地形, 第31回社会地質学シンポジウム論文集, 59-62.
髙嶋 洋, 2022, 堰き止め地形の排水能力に係る法的枠組み, 第32回社会地質学シンポジウム論文集, 39-42.
Winkler, K., Fuchs, R., Rounsevell, M. et al.2021, Global land use change is four times greater than estimated. Nat Commun, 12, 2501.

