講演情報
[G-O-22]白亜紀における西南日本の古地磁気極移動曲線の高精度化
*宇野 康司1、菅 遥輝1、古川 邦之2 (1. 兵庫県立大学、2. 愛知大学)
キーワード:
古地磁気極移動曲線、白亜紀、西南日本
古地磁気情報に基づく見かけの極移動曲線(Apparent Polar Wander Path, APWP)は、ある地質領域の運動史を復元するための基本的情報である。北米大陸やユーラシア大陸など、主要な大陸についてはこれまで数多くの研究が行われ、極移動経路が次第に更新・洗練されてきた。APWPを構成するそれぞれの磁極の信頼性については、Meert et al. (2020) によって提唱された、地質状況や磁化情報に関連する7項目からなる R criteria (R score) が利用される。
ユーラシア大陸東部(東アジア)と日本列島とのテクトニクス的関係を APWP から議論するためには、日本列島からの白亜紀以前の高精度な磁極の取得が必要である。西南日本ではこれまで白亜紀の磁極データの蓄積が行われてきたが、これらを R criteria の観点から評価したとき、特に 100 Ma の磁極に関しては、その精度の向上が不可欠である。
本研究では、西南日本内帯に分布する羽山層(101 ± 4 Ma;鈴木ほか, 2001)を対象に、古地磁気解析を実施した。4地点から採取された赤色泥岩試料に対して段階熱消磁を行い、高温磁化成分としてヘマタイトが担う残留磁化を分離した。高温磁化成分は褶曲テストに合格した。光学顕微鏡観察および化学分析の結果から、これが堆積時に獲得された初生磁化であると判断された。
これらの結果を既報の羽山層8地点のデータ(Uno et al., 2023)と統合し、西南日本の100 Maを代表する古地磁気極(33.7N, 210.1E, A95=4.5)を得た。この磁極は R score=4 の評価を得ており、また、西南日本における白亜紀の他の磁極と同等の信頼度を有している。これらの白亜紀の磁極は、信頼限界の範囲内において互いに区別できない位置関係にあることが示された。本研究で得られた新たな磁極データを加えることで、西南日本の白亜紀中頃における古地磁気極の位置づけがより明確となり、古地磁気極移動曲線の精度向上に寄与する成果が得られた。
Meert et al. (2020) Tectonophys. 790:228549鈴木ほか (2001) 地質学雑誌 107:541-556Uno et al. (2023) Geosci. Lett. 10:21
ユーラシア大陸東部(東アジア)と日本列島とのテクトニクス的関係を APWP から議論するためには、日本列島からの白亜紀以前の高精度な磁極の取得が必要である。西南日本ではこれまで白亜紀の磁極データの蓄積が行われてきたが、これらを R criteria の観点から評価したとき、特に 100 Ma の磁極に関しては、その精度の向上が不可欠である。
本研究では、西南日本内帯に分布する羽山層(101 ± 4 Ma;鈴木ほか, 2001)を対象に、古地磁気解析を実施した。4地点から採取された赤色泥岩試料に対して段階熱消磁を行い、高温磁化成分としてヘマタイトが担う残留磁化を分離した。高温磁化成分は褶曲テストに合格した。光学顕微鏡観察および化学分析の結果から、これが堆積時に獲得された初生磁化であると判断された。
これらの結果を既報の羽山層8地点のデータ(Uno et al., 2023)と統合し、西南日本の100 Maを代表する古地磁気極(33.7N, 210.1E, A95=4.5)を得た。この磁極は R score=4 の評価を得ており、また、西南日本における白亜紀の他の磁極と同等の信頼度を有している。これらの白亜紀の磁極は、信頼限界の範囲内において互いに区別できない位置関係にあることが示された。本研究で得られた新たな磁極データを加えることで、西南日本の白亜紀中頃における古地磁気極の位置づけがより明確となり、古地磁気極移動曲線の精度向上に寄与する成果が得られた。
Meert et al. (2020) Tectonophys. 790:228549鈴木ほか (2001) 地質学雑誌 107:541-556Uno et al. (2023) Geosci. Lett. 10:21
