講演情報
[T4-P-9]北海道日高変成帯ウエンザルカンラン複合岩体における斜長石レルゾライトのマイロナイト化作用の再検討
*井上 創1、道林 克禎1 (1. 名古屋大学大学院 環境学研究科(岩鉱))
キーワード:
ウエンザルカンラン複合岩体、日高変成帯、カンラン岩、マイロナイト、相変態
北海道中央部日高変成帯北部の日高主衝上断層沿いに位置するウエンザルカンラン複合岩体には,マイロナイト化した斜長石レルゾライトが含まれる.本地域の斜長石レルゾライトは蛇紋岩化作用が弱く,カンラン石や輝石など上部マントルの初生鉱物が残存する.このかんらん岩マイロナイトは,スピネルレルゾライトから斜長石レルゾライトへのサブソリダス反応によって生成した結晶粒子に歪が局所化し,塑性剪断変形が促進されて形成したと解釈された[1].本研究では,偏光顕微鏡と走査型電子顕微鏡を用いて定量的な微細構造観察と結晶方位解析を行い,斜長石レルゾライトのマイロナイト化作用を再検討した.
本研究では,先行研究[1]で解析された斜長石レルゾライト1試料の研磨薄片を詳細に再分析した.研磨薄片は,面構造に垂直,線構造に平行な面(XZ面)で作成されたものである.マイロナイト化した斜長石レルゾライトの組織は,比較的粗粒なカンラン石(> 650 μm)や非常に伸長した直方輝石(約15 mm),単斜輝石,スピネルの残晶(ポーフィロクラスト)とカンラン石,直方輝石,単斜輝石,斜長石,スピネル,角閃石の細粒基質からなるポーフィロクラスト状組織を示した.SEM-EBSD法による結晶方位マップの結果から含水鉱物である角閃石のモード比は約3%であった.また,直方輝石とスピネルの残晶間には,カンラン石と斜長石からなるバーミキュラー状のシンプレクタイトが観察された.さらに,斜長石は,スピネル残晶の周縁部を取り囲む組織を示した.スピネルの残晶には延性(塑性)ブーディンが発達し,そのネッキング部に応力が集中して動的再結晶作用によって細粒化した組織を示すことが確認された.カンラン石の結晶方位解析からは全体に集中は弱いが {0kl}[100]すべりが優勢の結晶方位定向配列を示した。以上の結果を基にして,本研究ではマイロナイト化した斜長石レルゾライトの微細構造発達過程を議論する.
[1] Furusho & Kanagawa 1999 Tectonophysics.
本研究では,先行研究[1]で解析された斜長石レルゾライト1試料の研磨薄片を詳細に再分析した.研磨薄片は,面構造に垂直,線構造に平行な面(XZ面)で作成されたものである.マイロナイト化した斜長石レルゾライトの組織は,比較的粗粒なカンラン石(> 650 μm)や非常に伸長した直方輝石(約15 mm),単斜輝石,スピネルの残晶(ポーフィロクラスト)とカンラン石,直方輝石,単斜輝石,斜長石,スピネル,角閃石の細粒基質からなるポーフィロクラスト状組織を示した.SEM-EBSD法による結晶方位マップの結果から含水鉱物である角閃石のモード比は約3%であった.また,直方輝石とスピネルの残晶間には,カンラン石と斜長石からなるバーミキュラー状のシンプレクタイトが観察された.さらに,斜長石は,スピネル残晶の周縁部を取り囲む組織を示した.スピネルの残晶には延性(塑性)ブーディンが発達し,そのネッキング部に応力が集中して動的再結晶作用によって細粒化した組織を示すことが確認された.カンラン石の結晶方位解析からは全体に集中は弱いが {0kl}[100]すべりが優勢の結晶方位定向配列を示した。以上の結果を基にして,本研究ではマイロナイト化した斜長石レルゾライトの微細構造発達過程を議論する.
[1] Furusho & Kanagawa 1999 Tectonophysics.
