講演情報
[G-P-18]「しんかい6500」に構築した音響探査システムと観察・サンプリングを組み合わせたハイブリッド潜航調査
*飯島 耕一1、金子 純二1 (1. 海洋研究開発機構)
キーワード:
音響探査、しんかい6500、潜水船、サイドスキャンソナー
有人潜水調査船「しんかい6500」の潜航調査では、研究者が海中・海底を直接観察し、高解像度の写真撮影・動画記録を残しつつ、正確な位置情報を備えたサンプリングが可能である。これまでの1700回以上にもおよぶ潜航調査によって、深海研究の様々な分野において数多くの発見と新たな知見が蓄積されてきた。
金子らは近年、海底地形・浅層地層構造探査と海底の目視観察・サンプリングを1回の潜航で連続して実現させるため、持ち込みペイロードとして音響探査機器を「しんかい6500」へ搭載するシステムを開発してきた[1][2]。2024年、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環で、最新の音響探査機器:海底地形とサイドスキャンソナー(SSS)イメージのためのインターフェロメトリー(PMBS)ソナー、浅層地層構造探査のためのサブボトムプロファイラー(SBP)、高性能のドップラーベロシティーログ(DVL)などを導入した。これらの耐圧容器や送受波器を「しんかい6500」の船体前面中央部や側面などに搭載し、「しんかい6500」のナビゲーション情報を得ながら音響探査データを取得する統合システムを構築した。
潜航中、機器から送られてくるデータは耐圧殻に持ち込んだ機器制御・同期用ノートパソコンにリアルタイムで表示される。この機能によって、特異な地形や地層構造、高(低)反射物の存在などをその場で認識し、位置(座標)も把握することができる。これらの情報は、優先的に観察してサンプリングすべき地点を「潜航中、その場で」判断するために最も高精度で有効な、即座に利用できる探査結果である。このシステムは「しんかい6500」の音響探査と観察・サンプリングのハイブリッド調査をさらに進化させ、潜航調査の拡張性と効率化に大きく貢献する。
この音響探査システムを試験するために潜航した海域において、高度を取ってサーベイしたSSSに3か所の特異点が認められた。そこでその特異点の座標位置に向かって下降し目視観察を行ったところ、これらは泥底上に存在する沈木および岩石であった。これらの物体が何であるかを調べるために、沈木の一部をサンプリングして回収し、航海の終了後、X-CT観察、表面の一部の蛍光X線分析などを行った。
この発表では「しんかい6500」の音響探査システムの概要とハイブリッド調査の試験潜航の結果を示し、半年後に無人探査機「ハイパードルフィン」で特異点に再訪した様子と、採取した物体についての簡単な分析結果について報告する。
[1] 町田ほか (2019) 日本地質学会第126年学術大会
[2] Kaneko et al. (2022) OCEANS 2022 Chennai
金子らは近年、海底地形・浅層地層構造探査と海底の目視観察・サンプリングを1回の潜航で連続して実現させるため、持ち込みペイロードとして音響探査機器を「しんかい6500」へ搭載するシステムを開発してきた[1][2]。2024年、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環で、最新の音響探査機器:海底地形とサイドスキャンソナー(SSS)イメージのためのインターフェロメトリー(PMBS)ソナー、浅層地層構造探査のためのサブボトムプロファイラー(SBP)、高性能のドップラーベロシティーログ(DVL)などを導入した。これらの耐圧容器や送受波器を「しんかい6500」の船体前面中央部や側面などに搭載し、「しんかい6500」のナビゲーション情報を得ながら音響探査データを取得する統合システムを構築した。
潜航中、機器から送られてくるデータは耐圧殻に持ち込んだ機器制御・同期用ノートパソコンにリアルタイムで表示される。この機能によって、特異な地形や地層構造、高(低)反射物の存在などをその場で認識し、位置(座標)も把握することができる。これらの情報は、優先的に観察してサンプリングすべき地点を「潜航中、その場で」判断するために最も高精度で有効な、即座に利用できる探査結果である。このシステムは「しんかい6500」の音響探査と観察・サンプリングのハイブリッド調査をさらに進化させ、潜航調査の拡張性と効率化に大きく貢献する。
この音響探査システムを試験するために潜航した海域において、高度を取ってサーベイしたSSSに3か所の特異点が認められた。そこでその特異点の座標位置に向かって下降し目視観察を行ったところ、これらは泥底上に存在する沈木および岩石であった。これらの物体が何であるかを調べるために、沈木の一部をサンプリングして回収し、航海の終了後、X-CT観察、表面の一部の蛍光X線分析などを行った。
この発表では「しんかい6500」の音響探査システムの概要とハイブリッド調査の試験潜航の結果を示し、半年後に無人探査機「ハイパードルフィン」で特異点に再訪した様子と、採取した物体についての簡単な分析結果について報告する。
[1] 町田ほか (2019) 日本地質学会第126年学術大会
[2] Kaneko et al. (2022) OCEANS 2022 Chennai
