セッション詳細

シンポジウム4
研究実践できる薬剤師を養成するために必要な教育

2025年8月23日(土) 15:30 〜 17:30
第4会場(442教室)
代表オーガナイザー:上田 昌宏(摂南大学薬学部)
共同オーガナイザー:岡田 直人(山口大学病院薬剤部)
〇概要:
薬剤師に求められる資質・能力には、学術・研究活動を実践する力が含まれる。しかし、学部教育のみでは獲得が難しく、卒後の継続的な研鑽が必要である。大学院進学によって研究能力を高める道もあるが、ハードルが高いため自施設での研究活動を通じて能力を醸成する場合も多い。本シンポジウムでは、大学院以外の環境も踏まえた研究能力向上に必要な内容について、教育を受ける側・提供する側双方の視点から議論する。
〇詳細:
 本シンポジウムは、「薬剤師が研究に取り組みたい」と考えた時に、どんな環境があれば効果的に能力を醸成できるかを議論するものである。主に社会人となった薬剤師にとって、臨床現場での研究実践(課題発見から問題解決)に必要な場や支援に焦点を当てる。
 薬剤師が研究実践能力を身につけることで、臨床上の疑問を研究的視点から捉え、未解決の問いに対して解決策を導くことが可能となる。こうした能力は、令和4年度改訂の薬学教育モデル・コアカリキュラム(以下、コアカリ)においても重視されており、薬剤師に求められる資質・能力として、学術・研究活動の実践が明記されている。そのため、コアカリでは引き続き「薬学研究」の項目が設けられており、研究能力の育成が制度的に位置づけられている。しかし、研究実践能力を身に着ける薬剤師を養成する環境が十分とはいえない状況にある。学部教育では、コアカリに沿って教育が行われているものの、時間的・人的リソースの制約に加え、学生が「研究=実験」と限定的に捉えていたり、実務との関連を見いだせないことから、学生の動機づけが弱く、能力を十分に伸ばせていない現状がある。そのため卒業後の継続的な研鑽が必要である。
 卒業後の研鑽方法として、大学院進学によって研究能力を高める道もあるが、ハードルが高いため自施設での研究活動を通じて能力を醸成する場合も多い。自施設での研究活動についても、指導者や環境に大きく左右されるため、どの施設でも十分に研究できるとも限らない状況である。また、これらの教育に関する内容を共有する機会もわずかであり、施設による格差も大きいものと考えられる。
 そこで本シンポジウムでは、大学院、病院や薬局のあらゆる環境を踏まえ、卒業後の臨床現場で研究能力の向上に必要な支援、環境や課題について、教育を受ける側・提供する側双方の視点から議論する。病院薬剤師の立場から2演題、薬局薬剤師の立場から2演題の話題提供があった後、皆さまとの総合討論を通して、より良い研究環境・支援を考えていく。臨床現場で研究を始める薬剤師、研究を支援する薬剤師それぞれにとって有益な場になれば幸いである。

[SY4-1]薬局薬剤師が研究をするためには何が必要か?

鈴木 すみれ(株式会社なの花東北 事業部)

[SY4-2]臨床研究スタートに必要な意識と環境―社会人大学院生になった経緯を踏まえて―

堤 竹蔵(北海道大学病院薬剤部)

[SY4-3]保険薬局での研究・学術活動への支援体制について

長谷川 佳孝(株式会社アインホールディングス 医療連携学術部)

[SY4-4]薬剤師による研究活動の推進に向けた教育の実践と課題

岡田 直人(山口大学医学部附属病院薬剤部)

[SY4-5]パネルディスカッション