講演情報
[2Gp03]LC-TIMS-qTOF/MS 法を用いた Acetyl 誘導体化法による Angiotensin 類の高感度一斉分析法の構築
*河田 珠愛1、Yang Xiaoqi1、巴山 忠2、松井 利郎3 (1. 九大院・生資環、2. 福岡大・薬、3. 九大院・農)
キーワード:
アンジオテンシン、MS、アミン誘導体化法
【目的】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)は血圧上昇に関与することで知られているが, その代謝物の中には血圧を下げる作用を持つものも存在する1). 血中のAngiotensin類は非常に低濃度(100 fmol/mL以下)であり, 少量の血液から高感度に一斉分析できる方法は未確立であった. 他方, Trapped Ion Mobility Spectrometry(TIMS)-MS法とは, MS方向の不活性ガス流と逆行する電場勾配によってイオンの分離, 蓄積が可能な新たなMS技術である.近年では, MS/MSによる高選択的検出を可能とするprm-PASEFモードが開発され, 両者を組み合わせた高選択かつ高感度MS分析が提案されている.本法はMSでの感度低下の要因の一つであるマトリックス効果を低減できるため, Angiotensin 類の網羅解析に威力を発揮することが期待される.そこで, 本研究ではLC-TIMS-qTOF/MSを用いたAng代謝物の高感度一斉分析法の確立を試みた.
【方法】
Ang IIの標準溶液(1 nmol/L)をモデルペプチドとしてLC-qTOF/MS 分析に供し, 6種の誘導体化剤(2,4,6-Trinitrobenzenesulfonic acid, 3-Aminopyridyl-N-hydroxysuccinimidyl carbamate, N-Succinimidyl 7-Methoxycoumarin-3-carboxylate, 4-Methyl polyethylene glycol, Acetic Anhydride, 1-(methoxy acetyl)oxypyrrolidine-2,5-dione(Methoxy Acetyl))の検討を行った. その後, 誘導体化Ang IIをLC-TIMS-qTOF/MS 分析に供し, TIMS条件(1/k0, Accumulation・Ramp Time)の最適化を行った. 最適化した条件を用いて, RAS 系代謝物(Ang I, Ang-(1-9), Ang II, Ang-(1-7), Ang A, Angioprotectin)の定量下限および検出限界を求めた.
【結果】
6 種の誘導体剤の検討において, Methoxy Acetyl 誘導体化法を施したAng IIは, 未誘導のAng IIと比較してMS 検出感度が大幅に上昇した. その後, Methoxy-Acetyl-Ang IIを用いてTIMS条件の最適化を行ったところ, 最適化前と比較して約180倍の検出強度向上が確認され, 検出限界14.2 fmol/mLを達成した. そこで本法を用いてRAS 系代謝物(Ang I, Ang-(1-9), Ang II, Ang-(1-7), Ang A, Angioprotectin)の高感度一斉検出を試みたところ, fmolレベルでの一斉検出を達成した(検出限界:11.9 fmol/mL ~ 52.3 fmol/mL).以上, LC-TIMS-qTOF/MSとMethoxy Acetyl誘導体化法を併用することにより, 微量の血液からAng代謝物を高感度に一斉検出することが可能であることが示された.
1) D.J. Campbell, Int. J. Biochem. Cell Biol.,35,784 (2003).
レニン−アンジオテンシン系(RAS)は血圧上昇に関与することで知られているが, その代謝物の中には血圧を下げる作用を持つものも存在する1). 血中のAngiotensin類は非常に低濃度(100 fmol/mL以下)であり, 少量の血液から高感度に一斉分析できる方法は未確立であった. 他方, Trapped Ion Mobility Spectrometry(TIMS)-MS法とは, MS方向の不活性ガス流と逆行する電場勾配によってイオンの分離, 蓄積が可能な新たなMS技術である.近年では, MS/MSによる高選択的検出を可能とするprm-PASEFモードが開発され, 両者を組み合わせた高選択かつ高感度MS分析が提案されている.本法はMSでの感度低下の要因の一つであるマトリックス効果を低減できるため, Angiotensin 類の網羅解析に威力を発揮することが期待される.そこで, 本研究ではLC-TIMS-qTOF/MSを用いたAng代謝物の高感度一斉分析法の確立を試みた.
【方法】
Ang IIの標準溶液(1 nmol/L)をモデルペプチドとしてLC-qTOF/MS 分析に供し, 6種の誘導体化剤(2,4,6-Trinitrobenzenesulfonic acid, 3-Aminopyridyl-N-hydroxysuccinimidyl carbamate, N-Succinimidyl 7-Methoxycoumarin-3-carboxylate, 4-Methyl polyethylene glycol, Acetic Anhydride, 1-(methoxy acetyl)oxypyrrolidine-2,5-dione(Methoxy Acetyl))の検討を行った. その後, 誘導体化Ang IIをLC-TIMS-qTOF/MS 分析に供し, TIMS条件(1/k0, Accumulation・Ramp Time)の最適化を行った. 最適化した条件を用いて, RAS 系代謝物(Ang I, Ang-(1-9), Ang II, Ang-(1-7), Ang A, Angioprotectin)の定量下限および検出限界を求めた.
【結果】
6 種の誘導体剤の検討において, Methoxy Acetyl 誘導体化法を施したAng IIは, 未誘導のAng IIと比較してMS 検出感度が大幅に上昇した. その後, Methoxy-Acetyl-Ang IIを用いてTIMS条件の最適化を行ったところ, 最適化前と比較して約180倍の検出強度向上が確認され, 検出限界14.2 fmol/mLを達成した. そこで本法を用いてRAS 系代謝物(Ang I, Ang-(1-9), Ang II, Ang-(1-7), Ang A, Angioprotectin)の高感度一斉検出を試みたところ, fmolレベルでの一斉検出を達成した(検出限界:11.9 fmol/mL ~ 52.3 fmol/mL).以上, LC-TIMS-qTOF/MSとMethoxy Acetyl誘導体化法を併用することにより, 微量の血液からAng代謝物を高感度に一斉検出することが可能であることが示された.
1) D.J. Campbell, Int. J. Biochem. Cell Biol.,35,784 (2003).
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