講演情報

[2Ip10]自家蛍光を利用したイチゴの簡易硬度測定システムの開発および評価

*宮下 一成1、室 幸一2、Ha Duc Minh3、荒木 徹也3 (1. Ochanomizu Optics、2. 帝京大学、3. 東京大学)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

蛍光、分光、非破壊計測、硬度、イチゴ

【目的】イチゴは非常に傷みやすく,流通過程において外観や内部品質の劣化を防ぐためには,果実の硬さを正確に評価することが重要である.しかし,従来の硬さ測定法は果実に物理的損傷を与えるため,生産や流通現場での非破壊・迅速な全量検査には適さない.そこで本研究では,青色LEDとMEMS型分光器を用いた小型で低コストな蛍光測定システムを開発し,イチゴ果実の物性値を非破壊で予測する新たな手法を検討した.
【方法】開発した蛍光測定システムは,青色LED光源とロングパスフィルター, MEMS分光器を組み合わせたものであり,波長640〜840 nmにわたる自家蛍光スペクトルを取得する設計とした.測定試料には,東京都内の農園で収穫された品種スター・ナイト80果を用い,果実表面2か所(上部中央と側面中央)を測定対象とした.取得したスペクトルデータから硬さ,脆さとの相関を調べ,Microsoft Excelを用いて最も相関の高い波長を説明変数とする単回帰モデルを構築した.モデルの評価には,実測値と予測値との相関係数および予測誤差(RMSE)を指標とした.
【結果】蛍光スペクトル測定では,640〜840 nmにわたり蛍光が確認され,特に650〜790 nm付近で高い強度を示した.硬さおよび脆さとの相関解析では,両物性とも700〜840 nmで高い相関が得られ,780 nm付近で相関係数0.9以上を示す優れた結果が得られた.一方,クロロフィル吸収帯に重なる680 nmでは相関が一時的に低下し,励起光の再吸収による影響が示唆された.また,測定部位の違いによる相関変動も認められ,果実表面形状やクロロフィル分布の影響が考えられた.さらに,両部位のデータを統合することで予測精度が向上し,果実全体の状態をより的確に反映できる可能性が示された.以上より,本システムはイチゴ果実の硬さや脆さを非破壊で簡便に評価できる有用なツールであり,流通や品質管理への実用化が期待される.

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン