講演情報

[P119]長期保存パンの物理化学的特性に及ぼす乳化剤の影響

*大川 真澄1、武内 洵奈2、増子 朝貞3、御手洗 由貴3、清水 なつみ3、今泉 鉄平2,4、西津 貴久2,4 (1. 岐阜大・院・自然研、2. 岐阜大・応生、3. 三菱ケミカル(株)、4. 岐阜大・先制食未来研究センター)
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キーワード:

パン、長期保存、テクスチャ-、澱粉老化、グルテン

【目的】製パン時の生地の安定性や伸展性の向上,焼成後の品質劣化(老化)の抑制をはかるために乳化剤が用いられることがある.本研究では,種類の異なる複数の乳化剤を加えた食パンの長期保存中の物性変化を定量的に評価するとともに,乳化剤が澱粉老化やグルテンの性状に及ぼす影響について検討した.
【方法】有機酸モノグリセリド,高HLBショ糖脂肪酸エステル,低HLBショ糖脂肪酸エステル,油脂,糖液からなる乳化剤製剤を使用した.製剤添加パン及び無添加パンを用いて1,3,7,14,28日目に,官能評価,TPAによる硬度測定,XRDによる澱粉老化度測定を行った.またRVAで調製したグルテン試料を以下の測定に供した.FT-IR ATRで得られた赤外スペクトルのアミドⅡピークからグルテンの水和量を推定した.ネットワークアナライザーで100 MHzから50 GHz帯域の比誘電率,誘電損失を測定し,緩和時間τを算出した.さらにパン生地を調整し,グリアジンを免疫染色後,共焦点レーザー顕微鏡及び蛍光顕微鏡で観察した.
【結果】4週間保存したパンの官能評価では,添加パンは無添加パンより「ソフトさ」スコアが大きかった.TPA,XRD測定の結果,製剤添加パン及び無添加パンは,保存日数が増すと硬度と澱粉老化度が大きくなった.2週目までは添加パンは無添加パンより澱粉老化度が小さく,その後4週目に向かって無添加パンの値に近づく傾向があった.RVAで調製したグルテン試料は,無添加ではゲル状となり水が一部離水したが,製剤添加ではペースト状となった.グルテンの水和量および誘電緩和時間は無添加試料より添加試料が小さい傾向があった.パン生地を蛍光顕微鏡で観察した結果,製剤添加では膜状の構造,無添加では線状構造が見られた.以上のことから,乳化剤は4週間にわたりパンの食感劣化を抑制し,その要因として2週目までは澱粉老化への影響が強く,2週目以降はグルテンの水和量や構造に影響することが推察された.

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