講演情報

[P130]餅の軟化機構のナノ構造解析

*赤嶺 直弥1、石田 倫教1、大沼 正人1 (1. 北大・院・工)
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キーワード:

餅、軟化、SAXS

【目的】 
 餅や米飯など澱粉を含む食品は十分な水分の元で加熱すると軟化し, 冷却や乾燥によって硬化する. 澱粉の基本構造についてはいくつかのモデルが提示されているが, 構造変化と物性変化の対応については未だ判然としないところがある. 
 本研究ではX線小角散乱測定(SAXS)や熱分析を行うことで, 餅の特徴的な物性の変化の構造上の起源を検討することを目的とした.
【方法】
 本実験では市販の切り餅を試料として使用した. SAXS測定では温度制御装置による加熱・冷却測定, 冷蔵保存後の測定, 乾燥・再吸水試料の測定を行った. また広角領域においても同様の実験を行った. 熱分析では示差走査熱量計(DSC)を用いて, 軟化過程及び水の蒸発過程における吸熱量を加熱速度ごとに測定した.
【結果】
 加熱過程におけるSAXSプロファイルでは, 温度の上昇に伴いQ = 0.4 nm-1 前後の領域における散乱強度が低下していた. 冷蔵保存後の試料では同じ位置での散乱強度が概ね加熱前と同程度まで上昇したことから, 加熱・冷却過程において可逆的な構造変化が起きていることを示唆している. 広角領域におけるBragg-Peakにも同様の強度変化が見られたことから, 結晶性の有無にも対応して変化していると考えられる.
 加熱速度ごとのDSC曲線では, 40℃〜80℃の範囲に吸熱側へのシフトが確認できた. また加熱速度が大きくなるほど, このシフトは高温側へと移動していた. このことから餅の軟化過程ではガラス転移とみられる現象が起きていると考えられる.
 実験結果から, 餅は結晶領域とガラス領域に分配した水分が加熱により均一に分散し, 過冷却液体となることで軟化し, 冷却過程では再び2領域に水分が再分配することで硬化すると考えられる. この際, 軟化前の骨格構造が維持されていると考えられる.

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