講演情報
[P132]酒粕の微細化処理が抽出・分離粗タンパク粉末の物理化学特性に与える影響の解明
*大家 日向里1,2、北村 豊3、賴 喜美4、粉川 美踏3 (1. 筑波大・院・生物資源、2. 国立台湾大・院・農芸化学、3. 筑波大・生命環境系、4. 国立台湾大・農芸化学系)
キーワード:
酒粕、微細化、たんぱく質、物理化学的特性、未利用資源
【目的】酒粕は日本酒製造の副産物で,年間約1800トンが廃棄されている.しかし,タンパク質を約30%含有するなど栄養に富み,優れた発酵食品として注目されている.世界的にタンパク質供給不足が問題視される中,植物性代替タンパク源としての活用の可能性が見込まれる.本研究では,タンパク質の抽出・分離を促進する微細化処理に着目し,酒粕粗タンパク粉末の物性に与える影響を解明する.得られた基礎資料を基に,酒粕の更なる高機能化・高付加価値化を目指し,代替タンパク源としての応用方法を提示する.【方法】酒粕は鹿野酒造(石川県加賀市)の練り粕(純米酒・本醸造酒)を使用した.これらを湿式石臼微粉砕とホモジナイズの2つの方法で微細化し,それぞれ栄養成分や物性を未処理の酒粕と比較した.栄養成分分析では,タンパク質(ケルダール法),炭水化物(GOPOD法),脂質(ソックスレー法),食物繊維(酵素重量法),灰分(灰化法)の含有率を測定・比較した.タンパク質の抽出・分離は,酵素処理(グルコアミラーゼ,リパーゼ,セルラーゼ,ヘミセルラーゼ)とアルカリ抽出(pH=10)を組み合わせて行った.得られた粗タンパク粉末は,回収率,二次構造解析(FT-IR),分子量解析(SDS-PAGE),熱耐性(DSC),微細構造(SEM),発泡性,乳化性,保水性,保油性,消化性の比較を行った.【結果】栄養成分分析の結果,微細化後に測定されたタンパク質量が約3%増加し,窒素抽出性が向上する可能性が示唆された.実際のタンパク質回収量は,湿式石臼微粉砕では向上したが,ホモジナイズ粉砕では有意な変化は認められず,熱による変性が起因していると考えられた.アルカリ抽出されたタンパク質は,微細化による保油性の向上が見られたため,ジューシーな食肉加工品や口溶けの良い食品への応用可能性が示された.また,乳化安定性の向上も認められたため,マヨネーズやドレッシング,アイスクリームなど様々な食品への実用化が期待される結果となった.
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