講演情報
[P145]アスタキサンチンによるHepG2細胞のFFA誘導性脂質蓄積の制御効果
*Yuting Sun1, Yuqing Chen1, Tongqing Zhu1, Yien Liang2, Yingyuan Zhao1,3 (1. 河南工業大学生物工程研究科、2. 河南工業大学国際教育研究科、3. 名古屋大学大学院生命農学研究科)
キーワード:
アスタキサンチン集合体、ナノ・デリバリー・システム、脂質代謝、時計遺伝子
【目的】非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は過剰なアルコール摂取を伴わない肝細胞への中性脂肪の蓄積を特徴とする代謝性肝疾患である. 近年, 食生活やライフスタイルの変化に伴い、非アルコール性脂肪性肝疾患の罹患率は徐々に若年化の傾向を示している. アスタキサンチンは既に食品添加物としての安全性が認められた天然カロテノイドであり, 脂質の蓄積を抑制し, 代謝に関連した時間リズム障害を緩和する役割を果たすことから, NAFLD対する新規治療戦略としての応用が期待されている.【方法】本研究では, アスタキサンチンの水分散性と安定性を向上させるために,タンパク質-多糖ナノキャリアとしてウシ血清タンパク質とキトサンを用いて, H/J集合体アスタキサンチン/ウシ血清タンパク質/キトサンナノ粒子(H/J-ABC-NPs)を構築した. Caco-2細胞モデルを用いて, H/J-ABC-NPの細胞内への取り込み, 膜透過性吸収, および取り込みメカニズムを検討した. オレイン酸(OA)とパルミチン酸(PA)を用いてHepG2細胞に脂質蓄積を誘導させ, 脂質蓄積に対するH/J-ABC-NPの改善効果を検証した.【結果】Caco-2細胞は, H-ABC-NPsとJ-ABC-NPsの両方に対して高い取り込み能を示した. H-ABC-NPsとJ-ABC-NPsは主に受動輸送によって細胞内に入った. H/J-ABC-NPは, OAおよびPAが誘発した脂質蓄積を有意に減少させ, HepG2細胞におけるTC, TG, ALT, ASTの低下も確認された. H/J-ABC-NPsは, オレイン酸(OA)およびパルミチン酸(PA)誘導したHepG2細胞において, 脂肪酸合成酵素(FAS), ステロール制御因子結合タンパク質-1c(SREBP-1c), およびアセチル-COAカルボキシラーゼ(ACC)のmRNA発現レベルの大幅な減少及び, AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)のmRNA発現レベルの増加が見られた. 一方, H/J-ABC-NPsにより, 時計遺伝子の変化も見ていた, brain and muscle arnt-like 1 (Bmal-1)のmRNA発現レベルが大幅に減少されるのに対して, 概日運動出力サイクルカプト(Clock)のmRNA発現レベルが増加された. 以上の結果から, H-ABC-NPが時計遺伝子(Bmal1/Clock)発現を調節することで, 概日リズム障害を改善し得ることを強く示唆している。結論として, H/J-ABC-NPsは, SREBP-1c, FAS, ACCシグナル伝達経路を阻害し, AMPKシグナル伝達経路を活性化し, 脂質蓄積を緩和する役割を果たしていることが解明された.
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