講演情報

[P005]加熱によるカルノシンの構造変化:食品中の新規変性物質の発見

*細川 恵1、小澤 眞由3、渡邊 龍一3、佐藤 允朗2、澤田 亮2、川端 康之亮2、世古 卓也3、石原 賢司3、岩崎 優4、重村 泰毅4 (1. 東京家政大院・健康栄養、2. (株)極洋、3. (国研)水研教育機構、4. 東京家政大・栄養)
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キーワード:

カルノシン、イミダゾールジペプチド、鶏肉

【目的】カルノシン(Car)は, β-アラニンとL-ヒスチジンからなるイミダゾールジペプチドであり, 脊椎動物の骨格筋に広く分布している. その抗酸化能による疲労回復効果が報告されており, Carを含むイミダゾールジペプチドは健康食品素材として広く利用されている. しかし, 畜肉製品やサプリメントは一般的に加熱処理を必要とすることから, 加熱がCarの安定性や構造に与える影響は重要な課題である. 本研究では, 食品中のCarが加熱によって変性し, 新たなCar由来物質が生成される可能性に着目した. そこで, 加熱処理がCarに及ぼす影響を調べ, 食品中に含まれるCar由来の変性物質の探索とその挙動を明らかにすることを目的とした.
【方法】Carを含む鶏ムネ肉を試料とし, 加熱温度(110℃・120℃)および加熱時間(1〜4時間)で調製した. 試料をミンチ状にした後, ホモジナイザーで磨砕し, エタノール処理による除タンパクを行った. 遠心分離で得られた上清をLC/ESI-MSにより分析し, 食品中のCarおよびその変性物質の定量を行った.
【結果】はじめに, 加熱がCarを変性させるかを確認するため, Car標準品を加熱後にHPLCで分離し, 生成物を調べた. その結果, 加熱後のCar標準品試料中に, Carとは異なる保持時間に新たなピークが検出されたため, Car変性物質が加熱によって生成されることが明らかとなった. 次に鶏ムネ肉中に含まれるCar変性物の探索を行った. その結果, 鶏ムネ肉においても, 加熱温度および加熱時間の上昇に伴い, このCar変性物の濃度が上昇することが示された. 110℃の加熱条件において, 1時間の加熱では4.07 nmol/gであったCar変性物濃度が, 4時間の加熱では8.66 nmol/gへと, 4.59nmol/g増加した. さらに高温の120℃では, 1時間の加熱で8.68 nmol/g, 4時間の加熱では21.16 nmol/gとなり, 12.48nmol/gの大幅な増加が確認された. これらの結果から, 食肉の加熱処理によってCarの一部は変性し, その変性物の生成量は加熱に依存して増加することが示唆された.

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