講演情報
[3Ap09]酵母由来多糖ナノ粒子によるウコン粉末に含まれるクルクミンの可溶化
*神野 和人1、青山 音哉2、佐飛 峯雄1、小泉 桂一2 (1. 第一工業製薬(株)、2. 富山大)
キーワード:
酵母、多糖、ナノ粒子、ウコン、クルクミン
【目的】富山大学の小泉は,生薬を含む植物や菌類を水で煎じる際(水エキス)に普遍的に多糖ナノ粒子が生成される事を見いだしている1).現在我々は,この多糖ナノ粒子が,植物および菌類の水エキスを用いた食品中の難水溶性成分の可溶化に寄与しているのではないかとの仮説を提唱している.本研究では、食品酵母から多糖ナノ粒子を抽出して,その成分を明らかにし,生薬や植物性食品中に含まれる難水溶性成分を水に可溶化する能力があるかどうかを検証することを目的とした.
【方法】ビール酵母の熱水抽出液をエタノール分画,乾燥して多糖ナノ粒子を含む粉末(以下,多糖ナノ粒子)を得た.多糖ナノ粒子について,全糖,構成糖,α-グルカン,たんぱく質,核酸の分析,および形状観察,各種物性測定を行った.難水溶性成分の可溶化能力の検証は,ウコン粉末の水懸濁液に多糖ナノ粒子を加えて混合し,水中に可溶化したクルクミンを吸光度法で定量した.
【結果】多糖ナノ粒子の成分は,粉末100gあたり糖質を85g含み,糖質の内訳は,グリコーゲンが41g,マンナンが25gであった.原子間力顕微鏡により,60nm前後と10nm前後のナノ粒子が観察され,それぞれグリコーゲンとマンナンであると同定した.動的光散乱法による平均粒子径は110nm,0.1%水懸濁液の表面張力は54mN/m,ゼータ電位は-8mVであった.クルクミン単独での水に対する溶解度は1μg/ml以下であるが,5%のウコン粉末を含む水懸濁液を室温で1日混合すると,上澄に溶解したクルクミン濃度は5μg/mlであった.さらに,多糖ナノ粒子を1%添加した場合は14μg/mlに増加し,多糖ナノ粒子によるクルクミンの可溶化効果が見られた.クルクミンに対する多糖ナノ粒子成分の吸着等温線から,多糖ナノ粒子成分のうちマンナン粒子とたんぱく質がクルクミンに吸着して可溶化している機構が推定された.
1) Biochemistry and Biophysics Reports 16 (2018) 62–68
【方法】ビール酵母の熱水抽出液をエタノール分画,乾燥して多糖ナノ粒子を含む粉末(以下,多糖ナノ粒子)を得た.多糖ナノ粒子について,全糖,構成糖,α-グルカン,たんぱく質,核酸の分析,および形状観察,各種物性測定を行った.難水溶性成分の可溶化能力の検証は,ウコン粉末の水懸濁液に多糖ナノ粒子を加えて混合し,水中に可溶化したクルクミンを吸光度法で定量した.
【結果】多糖ナノ粒子の成分は,粉末100gあたり糖質を85g含み,糖質の内訳は,グリコーゲンが41g,マンナンが25gであった.原子間力顕微鏡により,60nm前後と10nm前後のナノ粒子が観察され,それぞれグリコーゲンとマンナンであると同定した.動的光散乱法による平均粒子径は110nm,0.1%水懸濁液の表面張力は54mN/m,ゼータ電位は-8mVであった.クルクミン単独での水に対する溶解度は1μg/ml以下であるが,5%のウコン粉末を含む水懸濁液を室温で1日混合すると,上澄に溶解したクルクミン濃度は5μg/mlであった.さらに,多糖ナノ粒子を1%添加した場合は14μg/mlに増加し,多糖ナノ粒子によるクルクミンの可溶化効果が見られた.クルクミンに対する多糖ナノ粒子成分の吸着等温線から,多糖ナノ粒子成分のうちマンナン粒子とたんぱく質がクルクミンに吸着して可溶化している機構が推定された.
1) Biochemistry and Biophysics Reports 16 (2018) 62–68
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